二項分布 と 多項分布 の初歩的な考え方をまとめてみました。
二項分布
コインを3回投げて、それぞれ表がでたか裏がでたかを記録します。
コインには細工がしてあり、表の出る確率は 70% 、裏の出る確率は 30%とします。
問題
3回投げて、表が2回、裏が1回となる確率は?
やりがちな間違い
確率 = 0.7 × 0.7 × 0.3
という答えがぱっと思いつきますが、これは間違いです。
なぜ、間違いなのか
コインの裏表のパターンは下図のように8通りです。
この8通りのうち、0.7 × 0.7 × 0.3 で求まるのは赤い部分だけです。

70% が2回、30% が1回というのは \( 0.7^{2} \times 0.3^{1} \) ですが、上図からわかるように、それが3通りのパターンでありえます(赤字と青字の部分)。
したがって、問題に対する答えは
となります。
問題がもし、表 → 表 → 裏の 順番で出る確率 を問うものなら 0.7 × 0.7 × 0.3 で正解です。順番を問わない問題なので、順番違いの 3パターンを 1つにまとめる必要があります。
3 の求め方
3通りあるから 3 を掛けましたが、この 3 という数字を数式で表すとどうなるかというと、3個から 2個を選択する組合せの数に相当します。

(3個から 1個を選択する組合せでもOK。同じことです)
これを踏まえて答を書きなおすとこうなります。
公式
上の式を公式として一般化すると
となります。
\(n\): 投げた回数
\(r\): 表の回数
\(\theta_1\): 表の出る確率
\(\theta_2\): 裏の出る確率
多項分布
多項分布の場合も考え方は同じです。
3面サイコロを6回投げて、出た目を記録します。サイコロには細工がしてあり、1、2、3 の出る確率を 50%、30%、20% とします。
問題
1 が3回、2 が2回、3 が1回となる確率は?
求め方
1 が3回、2 が2回、3 が1回となるパターンが何通りあるかを求め、そのパターン数に \(0.5^{3} \times 0.3^{2} \times 0.2^{1}\) を掛けてやります。
まずパターン数から

① 6個 から 3個 を取りだす組み合せは \(_6 C _3\)
② 残り3個 から 2個を取りだす組み合せは \(_3 C _2\)
③ 残り1個 から 1個 を取りだす組み合せは \(_1 C _1\)
この3つを掛けた値がパターン数です。
答
パターン数に \(0.5^{3} \times 0.3^{2} \times 0.2^{1}\) を掛けた値が答なので
公式
上の式を公式として一般化すると
\(n\): 投げた回数
\(m\): 目の数(3面なら3、6面なら6)
\(n_i\): \(i\) の出た回数
\(\theta_i\): \(i\) の出る確率